観測史上最小の海氷面積が明らかに
最新の人工衛星データによると、北極と南極の海氷面積が記録的な低水準に達していることが分かった。特に2025年2月9日から13日までの5日間での海氷面積は1,576万平方キロメートルとなり、前年の最低記録(1,593万平方キロメートル)を下回った。
地球の気温上昇に伴い、極地の海氷は減少を続けている。北極では年間を通して最も小さい水準となっており、南極も観測史上最小記録を更新する可能性が高い。
北極の海氷減少の影響
北極の海氷は、太陽のエネルギーを反射することで地球を冷却する役割を果たしている。しかし、氷の面積が減ると、暗い海面がより多くの熱を吸収し、温暖化を加速させる。2024年後半から北極の海氷は非常に低い水準が続いており、2025年2月時点では年間最大の氷の範囲が例年より約20万平方キロメートルも少ない。
要因としては、ハドソン湾周辺での氷の形成遅れや、バレンツ海・ベーリング海周辺での嵐による氷の破壊が挙げられる。また、2025年2月初旬には北極圏の気温が平年より約20度も高く、スヴァールバル諸島周辺では異常な融解が観測された。
南極の海氷にも異変が
北極に比べ、南極の海氷は2010年代半ばまでは比較的安定していたが、それ以降急速に減少している。南極の海氷は地形的に海に囲まれているため、風による影響を受けやすく、移動しやすいという特性がある。2025年の記録的な低水準は、暖かい空気や海水が大きく影響したと考えられている。
特にこの夏、南極の棚氷(南極大陸から流れ出る氷)では高温による表面融解が極端に進行した。英南極観測局の研究によれば、12月から1月にかけての大気条件がこれを強く促進した可能性があるという。
南極では2023年にも海氷が記録的な小ささとなったが、最近の研究によると、これは気候変動がなければ2000年に一度の異常な出来事だったとされている。しかし、2025年はそれを上回る規模での減少が予測されている。
海氷の減少がもたらす影響
極地の海氷減少は、ホッキョクグマやペンギンなどの生態系に影響を与えるだけでなく、地球全体の気候にも関わる問題だ。1980年代と比べ、極地の海氷による自然の冷却効果は約14%低下している。
また、海氷は地球の熱を分配し、ヨーロッパなどの気候を比較的安定させる海洋大循環にも影響を与える。南極の海氷がさらに減少すれば、海洋大循環の変化に対する懸念が高まるだろう。
国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)は、北極が2050年までに少なくとも一度は夏の終わりに海氷がほぼ消滅すると予測している。しかし、最近の研究では、この時期がさらに早まる可能性が示唆されている。
まとめ
北極と南極の海氷減少は、温暖化の進行とともに加速しており、今後もその影響が拡大すると考えられる。これらの変化がもたらす地球規模の影響に対し、早急な対応が求められている。
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