サンゴ白化現象が深刻化:奄美大島周辺で死滅が拡大




鹿児島県・奄美大島周辺の海域で、サンゴが白化し死滅する現象が大規模に進行していることが明らかになりました。地元の「奄美海洋生物研究会」が実施した調査によると、調査地点の8割以上で半数を超えるサンゴが白化によって死滅しており、海水温の上昇が主要な原因と考えられています。この規模は、1998年に発生した大規模な白化現象に匹敵するとされています。


#### 白化現象とは


白化現象は、サンゴと共生している褐虫藻がサンゴから抜け出すことで発生します。褐虫藻はサンゴに栄養分を供給する重要な役割を果たしており、これが失われるとサンゴは透明化し、最終的には死滅してしまいます。特に海水温の上昇や環境ストレスが、褐虫藻の喪失を引き起こす要因とされています。


#### 調査結果の詳細


調査は2023年10月から11月にかけて、奄美大島周辺の63か所でシュノーケリングによる目視確認によって行われました。その結果、すべての調査地点でサンゴの死滅が確認され、特に以下のような状況が報告されました:


- **28地点で死滅率50~74%**

- **24地点で死滅率75%以上**

- 調査地点全体の82.5%で半数以上が死滅

- 海底に残る生きたサンゴの割合(生サンゴ被度)は、前年の39.4%から14.9%へと急激に減少


また、リーフ(礁原)や笠利湾、住用湾などの浅瀬で、テーブル状や枝状のミドリイシ属サンゴの死滅が特に目立つ結果となりました。


#### 海水温上昇との関係


今年の夏、奄美大島周辺では台風10号の接近があったものの、8月の平均海水温は30.4度と前年の28.3度を大きく上回りました。調査によれば、この異常な水温上昇が白化現象を直接引き起こした可能性が高いとされています。さらに、近年は高い海水温が常態化しており、サンゴの白化や死滅が今後も拡大する懸念が指摘されています。


#### 歴史的背景と今後の見通し


奄美大島周辺では、1998年にも沖縄県・先島諸島にかけて広範囲で白化現象が発生し、大規模な被害が記録されました。今回の事態はその時に匹敵する規模であり、今後の対策が急務となっています。


一方で、奄美海洋生物研究会の興克樹会長は、現時点でサンゴの天敵であるオニヒトデの大発生は確認されていないと述べ、水温が低下する冬場にサンゴが再生する可能性も期待されています。ただし、長期的には海水温の上昇を抑えるための地球規模での取り組みが必要であり、地域の海洋環境保全活動も重要な役割を果たすと考えられています。


#### まとめ


奄美大島周辺で進行するサンゴの白化現象は、気候変動や環境破壊が引き起こす深刻な問題の一例です。この現象が示すのは、サンゴ礁が生態系の一部として果たす重要な役割が危機に瀕しているという現実です。私たち一人ひとりが環境への影響を考え、持続可能な未来のために行動することが求められています。


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