○自治体運営で判断が難しいと予測されること
もしある住民が自治体に野球場を作りたいと言い出した場合、それを一つ認めるとサッカーコートを作りたいという人物も出てくることになる。さらにはサーキット場を作りたいという人物も出てきて、ゴルフコースを作りたいという人物も出てくる。さらに、あそこの自治体はバスケットコートを作ったが、どうしてうちの自治体は作ってくれないのか?という不満も出てくる。他にも、大規模な研究施設が必要だから建設したいという提案もある。まず大事なことは、世界中で共通の優先順位を持つこと。
①地上の自然は、どこまでも100%に近い状態を維持する責任が人間にはある。自然環境の維持率が80%や50%になれば生態系は変化し、天候にも影響し、巡り巡って人間にも悪影響を及ぼす。
よって多目的施設がある広場はある程度建設を自由に行い、それ以外の場所は自然破壊を限りなく0にすることが基本となる。もしたくさんの施設建設が必要な場合、まず地下に作ることを検討する。地下であれば、自然環境への負荷は地上よりも低くなる。あとはその場所の地盤沈下を起こさせない対策をする。また周囲の樹木よりも高い施設は立てないようにすることも基本となる。
地下に作れない大きさの施設であれば、複数の周辺自治体と話し合い、求められている全ての施設をリストアップし、どの自治体にどの施設を分散して建設するかを検討する。その際も、一つを作れば今後さらに施設建設を求める声が出てくることを前提に、対応策も検討する。地上でスポーツの大型施設の建設要望がでた場合、例えばゴルフ場、サッカーコート、野球場は広い面積が必要になる。自治体に樹木がない広場があればその施設の建設は容易だが、樹木が生い茂っている場所では、その樹木を伐採してまで建設するべきか話し合う。1つの自治体がそれを認めると、世界中でたくさんの樹木が伐採されることになる。よって自治体がない海岸から内陸10kmの間の土地に、大型施設の建設を考える。これら全ての最終決定責任は1長にある。
ドローンも同じで、どこで飛ばして良いのかなどは自治体の地理状況などによって異なるので、自治体ごとに決める。
こういった理由もあり、海岸から内陸10kmや山間部はその周辺の自治体が主となり管理する。もしくは複数の自治体で共同管理する。そこでの話し合いで大規模施設の建造なども計画する。
②住民に死の危険性を感じさせる規模の活動について。ロケットや人工衛星を飛ばしたいという要望や、科学的な巨大実験の要望なども予測される。その活動の影響力が大きく、住民に死亡の可能性を感じさせる時は、通常の自治体ではできないことが多くなる。よってまず要望者は各町会の長や副長にその話を相談しに行き、その自治体単体で判断がつかない時は近隣とも話し合い、それでも解決しなければ、県議会、国議会で話し合う。
また世界の発展に寄与するような新しい技術や大量の資源が必要なことも、まず自治体の町会で認定するか決められ、より規模を大きくする段階になれば、自治体間での認定となり、さらに県、国、州、世界連邦での認定と順を追っていく。
ただプラウトヴィレッジでは、科学の発展が最優先事項ではない。自然環境の維持と住民の内面の穏やかさを実現する暮らしが最優先事項になるので、社会的大義名分がない大きな実験や化石燃料を使う実験、大規模施設の建設などは見送ることが前提となる。ただマイナスの要素が完全に取り除かれている要望に関しては、できるだけ実現していくことも自治体の業務となる。
③地元の植物資源からは採取できない資源、例えば鉱物や埋蔵資源が必要な時は、まず地球上の全員がその製品を手にした時に、どれくらいその資源が残るかで判断する。形成に時間がかかる埋蔵資源全体の50%が失われるのであれば、その案は却下になる可能性が高い。それが全体の0.01%ほどの採取で事足り、さらに何度も再利用できるのであれば認められる可能性もある。その決定を世界の70億人、100億人が同時に行った場合、世の中がどうなるかを考える。
○自治体でのサーバー、クラウド、人工知能、3Dプリンタ、IoT
プラウトヴィレッジは人工知能などを積極的に活用する。下記は分野別の人工知能の使用例。ただ手作業でできる状態も残しておく。
◯自治体
サーバー、クラウド、人工知能、3Dプリンタ、家電などは、住民の携帯電話のアプリにつなげる。気候、人口、収穫物など事務的な事柄も人工知能で管理。管理室(ICT・電力・水道)の運営。
◯生活品
一家に一台3Dプリンタ。指紋認証などのログイン制。どの場所でも指紋ログインすれば自分用に設定が変わる。スピーカー、照明、炊飯器など家電は携帯電話のアプリからも操作できる。車や電車の自動運転。
◯農業
作物の成長確認と収穫。
◯医療
健康診断ではCTスキャン、MRIで体内を撮影後、人工知能で病気や虫歯を検出。指紋認証などのログイン制で医療履歴を残す。
◯家
玄関と窓の鍵の自動ロック。センサーで土壁の強度測定。
○自動運転車
人間が車を手動運転している間は、交通事故がゼロになることはない。またプラウトヴィレッジでは飲酒運転を取り締まる警察がいないため、そこへの対策がないと悲惨な事故が起こる。これらを防ぎ、交通事故ゼロを目指す。そのため、自家用車は全て完全自動運転の車となり、手動運転の機能は残す。住民の移動方法としては、住居から多目的施設までは地上を時速20キロを上限とする自動運転車で移動する。自治体間はその制限を解除し、そして別の地域でも同じく時速20キロで移動。中長距離の移動には自動運転の電車、新幹線のような設備にし、到着した駅の自治体で自動運転の車を借りる。
こうして全住民は、携帯電話で行き先を指定して移動する。こういったことにより、子供から高齢者まで世界中の人が無料で、人身事故の可能性を限りなくゼロに抑えたまま、どこでも移動できる。
自動運転車の自治体内での最高速度は20キロ。もし時速30キロの車に歩行者がはねられた場合、その死亡率は10%ほどで、時速50キロでは80%以上となる。つまり20キロ以下で走り、さらに自動ブレーキによってぶつかる確率を限りなく低くする。そして万が一当たっても死ぬ確率はかなり低くなる。
大人の歩行速度は時速6キロほどで、子供は時速3.5キロほど。つまり自治体の端(はし)から中心まで2kmの距離なので、大人の徒歩で30分かかるが、時速20キロの車では10分ほどで到着する。プラウトヴィレッジでの生活にはスピードが求められるような仕事はなく、誰もがのんびり過ごしている。つまり早く走る車は必要なく、安全が第一優先になる。これにより、自治体内での交通事故と死亡事故は限りなくゼロに近づく。
場合によっては時速20キロの車に人がぶつかって、打ち所や倒れ方が悪く亡くなる可能性もある。こういったことは徒歩より遅い時速5キロでも起こる可能性がある。つまり最大時速何キロが、車の機能を果たしつつ死亡事故もゼロに抑えるかという線引きの問題になってくる。よって現時点では時速20キロがこの2つの条件を満たすラインとし、プラウトヴィレッジへの移住者には、移住前に自動運転車など自治体での事故死は全て自己責任であることの了承を得ることになる。
この自動運転車自体が低くなって、介護士の助けがなくても車椅子の人が自分で車に乗れる作りを目指す。こうしてできるだけ助けを必要とせず活動ができる状態を作る。
また車は緊急患者も運べるように、二人ほどが横になれる大きさの作りにし、全員が内向きに座れるようにもする。
プラウトヴィレッジでは自然が多くなるが、大雨や台風の次の日は木が折れて道をふさいでいることもある。そのため車には小型の電動ノコギリを常備しておく。そして車に乗る人がその倒れた木を切り、それを側道に置いて先へ進む。
自治体ではあらゆる場所で発電が行われているので、車へ走行中給電ができるように道路へ設備を埋設する。
○自治体での活動
自治体の多目的施設は主に自治体運営、製造、芸術活動などに利用され、入学や卒業という概念はなく、気づけば親や友達や近所の人に誘われ利用していることになる。多目的施設は24時間利用可能で、赤ちゃんから老人まで交流の場となる。その中で自分が何か興味のあるサークルや団体に出会えば参加する。自治体内の空いている住居は、他地域からの訪問者に宿泊場所としても提供する。そして自治体のウェブサイトでは部屋の利用状況の確認や告知などができ、内外の情報交換に使われる。
○教育
プラウトヴィレッジでは学校というものは存在せず、子供も大人も自分が学びたいと思ったことを好きな所で学ぶ。自宅や芸術館の部屋を使ってや、必要な施設がなければ自ら施設を構築するか設備の整った地域に赴く。こうして親も子供と共に、好奇心に従って日々を過ごしていく。
○子育てから生涯学習の流れ
誕生~
生まれた子供は物心がつく頃には親や友人に連れられて、近所や多目的施設で行なわれている様々なサークルに参加している。そこでは誰もが年齢に関係なく好きなことに取り組んでいる。自分の興味あるサークルがなければ自分で作る。そして「学び方を学び」、好奇心に沿って活動していると、やがて天職・適職レベルのものごとに出会う可能性もある。そうすると学びがより自主的になる。周囲には教えてくれる友人や先輩もおり、インターネットでは説明動画がある。
天職・適職発見3年目以降
天職、適職に取り組むことを3年続ければ、技術・知識が非常に高くなり、独自性を築き、他者が簡単には真似できないレベルになっている。この時点では自信も持て、精神的にも一定の満足感を得ていることが多い。よって自分だけでなく他者にも喜んでほしい、幸せになってほしいという感情も芽生えていて、奉仕することも多くなる。
天職・適職発見10年目以降
10年目まで意識の高い取り組みを続けることができると、その膨大な反復によってシナプスが増え、かなりのレベルに達している。こうして純粋な活動と無心の時間が多くなると、人間的にも大きく向上する。その中で常に無心を意識することがクセづいていると、思考による苦しみが止む時間が増える。また社会に対して恩返しをしたいという感情が芽生える人もいる。こういった流れがあり、人生が終わる瞬間まで続いていく。
○結婚、子作り、性教育
結婚について、プラウトヴィレッジでは婚姻届は存在せず、結婚は両者の合意のみとなる。宗教上の理由や親の希望などで、結婚という形式を用いるかどうかは自由となる。こうして高齢になっても、気軽に誰かと付き合ったり別れたりが行われる。
夫婦別姓も可能で、子供の名字をどうするかも家族などで決める。名前も自由に変えられる。ただ全ての人がどこかのプラウトヴィレッジに所属し、その時の名前と所在地、医療履歴、親と子供の血縁関係を登録し、その履歴を残していく。登録することで、その自治体の資源が分配される。この住民登録は自治体の人数把握と、食物の計画栽培、災害時の居住者の把握などのために必要になる。
そして生まれた子供を自分達で育てることが基本となるが、住民誰もが時間的余裕があるので、育児を助け合う余裕もある。子供が生まれれば、両親の名前と本人の名前を自治体へ登録する。
プラウトヴィレッジでは女性に体力があるうちの10代での出産も行う事ができ、その後の医療費の心配はなく、子供を何人作っても教育費がかかることもない。プラウトヴィレッジでは経済力の有無に関係なく子を持つことができ、子供のその後の生活の心配もなくなる。
こういった考え方が基本となり、性教育も家庭内もしくは自治体内でが基本となる。そのため、インターネットや本でいつでも説明できる資料を医食部が作っておく。
○医療
プラウトヴィレッジでは肉食が減って穀物採食が増え、過剰なストレスのない生活となり、住民の健康状態は良くなり、病に伏せる人は貨幣社会より少なくなるが、基本は住民自らが薬用植物などを使って治す。
そして芸術館にある病院では歯科、眼科、内科、外科、耳鼻科、皮膚科、泌尿器科、精神科、産婦人科、脳神経外科、伝統医療などの治療が無料で受けられる。芸術館に設置する理由は、住民が最も活動している場所となっているからで、その分ケガも増える。
治療には基本として薬用植物や伝統医療を用い、植物や備品も自治体でまかなう。さらに高度先端医療設備も整え、集中治療室、無菌病室などの医療の提供、開発、研修が行えるようにする。
さらに半年から1年に1回は人間ドッグを行い、人工知能による病気の検出などを行って、病気の早期発見を促す。それにより治療も短期で最小の状態で行える。つまり大病になる人が減ることになる。
自治体周辺で車、飛行機、船などの事故や自然災害が起こった場合は、最寄の自治体の医食部が中心となって救済活動や事故車の処理を行う。事故車などは製造館で原料へ戻される。出産については自宅出産か病院での出産となるが、助産師も需要が増す。
医療など信用と高度な技術、知識が必要な職種は、まずプラウトヴィレッジでは誠実で実力のある医師を探し、自治体公認の医師として依頼する。住民が医師になりたいと希望した場合、この公認医師の下で医学を学ぶ。その後、医師がOKを下した生徒は独立できる仕組みにする。その後、一定期間医師として活動し、住民からの評判が悪くなければ、自治体認定の医師とする。これは親方と弟子の関係のようなもの。認定医師が後輩の指導に専念したいと思った場合、それも可能。
そしてプラウトヴィレッジでは医師のミスで患者が死亡したとしても、医師が責任を追及されることはない。手術が必要な怪我を負うこと、体調を崩すことなどはすべて本人自らが引き起こした問題であり、自己責任が基本となるプラウトヴィレッジでは誰にもその責任を押し付けることはできない。自分の健康について自分で責任を持つことが自立した人間の基本であり、これが前提にあることで助ける側も最善を尽くすことができる。
さらに食物の栽培方法や種子の管理など、食に関する知識も医食部が管理する。
○消防
プラウトヴィレッジでは住居が密集することはなく、住居は土の壁なので燃えない。よって火災時に住居から住居へ火が燃え移る可能性は少ないが、周辺の樹木へは燃え移る可能性がある。火災が起きれば自治体の消防車が出動し、規模が大きければ近隣の自治体からも応援が駆けつける。ただ初期消火活動として住民自らが各家庭に常備されてある小型消化ポンプを使用して消火活動を行う。これにより周辺の木々へ火が燃え移ることが早期に予想された場合に、それらの木々に先に放水して被害を最小限に抑える。
このために各住居近くの上水道に消火栓を整備する。消火栓は棒が突き出た地上式消火栓ではなく、マンホール型の地下式消火栓で整備する。この地下式消火栓を上水道が住居へと向かって分岐している地点に設置する。そしてこの消火栓と同じ位置に小型消火ポンプとホースが入った格納箱を埋め込んでおき、住民がすぐに消火活動を行えるようにする。ホースの長さは消火栓から家の裏まで回り込める長さが必要となるので、20m以上が目安となる。
住民による消火訓練も、医食部が中心となって自治体で年1回ほど計画する。
○災害時の救助と復興
2020年に世界中で広まったコロナウイルスでは、感染を防ぐため自宅待機が求められた。そのため企業も個人も、お金にまつわる問題に悩まされた。プラウトヴィレッジでは自宅や周辺で食物を育てているので食べるものに困らず、家賃を支払う必要もないので、感染者がいなくなるまで全員が自宅待機することができる。マスクや必要品も、手作業や3Dプリンタで各地のプラウトヴィレッジが協力して作れば、物資に困ることがない。学生の勉強の遅れの問題も、プラウトヴィレッジには指導カリキュラム、学歴、就職という概念がなく、勉強は独自に進めていくことが前提となっている。そのため勉強の遅れという概念もない。
コロナウイルスのような感染症が発生した場合の手順としては、まず発生した自治体と周辺自治体を早期に封鎖する。場合によっては全国的に自治体間で人の移動を禁止する。そして自治体内で全住民の検査を行う。陽性だった人は、自宅待機か空いている土地に作られる一時的な隔離住居に移動し、治療を受ける。もし自治体内の大部分が感染していれば、自治体そのものを封鎖し、感染していない人が別の自治体へ移住する。こうして全員が陰性と判断された自治体同士は、再び移動が自由となる。こうしてワクチンを打たずに感染者ゼロを目指す。
100年単位で歴史を振り返ると感染症は古代から発生し続けており、今後も発生する。そのため人口が分散していた方が、検査を手分けして迅速に行える。都市のように大人数が集中していると医師と設備の数が足りず、医療崩壊を起こす。
また、地震、火山噴火、地すべり、台風、竜巻、豪雨、豪雪、洪水、津波などの自然災害のどれが起きようとも、基本的な対応策は同じ。自然災害の影響が及ぶ範囲は限定的であり、災害の影響が及んでいない周辺自治体が避難場所として被災者を受け入れる。
災害が起こりまず困ることは被災者の住む場所、トイレ、食料だが、周辺地域の自治体や住民が避難場所として宿泊施設や自宅を提供し、食べるものも提供する。次にその自治体の総務部がその避難者のリストをまとめ、オンライン上で周辺自治体と共有し、安否の確認がとれるよう手配する。
被災地への救助、救援活動は周辺自治体の医食部が中心となって行うが、事によってはヘリコプターなどが必要になることもあるので、最寄りの空港がある場合はそこから、空港がなければ事前にそういった設備を準備しておく。こういった自然災害があった場合のために、クレーンやショベルカーなどで地元住民が救助活動に参加できるよう、設備も操作技術も準備しておく。そのため住民は防災訓練を行い、その作業に慣れておくことになる。基本的にこの手順で、被災者の救助を行う。
次に復興については、破壊される前の状態を作り出せば良いだけであり、そのために周辺地域の住民が中心となって復興を行う。貨幣社会では復興する際の大きな問題として資金面があり、復興後も経済的に成り立つのかが問題となって復興が遅くなる。しかし貨幣がないプラウトヴィレッジではそういった問題は起こらず、地元の資源と3Dプリンタと住民がいれば復興はすぐに行われる。
そして街が完成すれば再び住民は戻っていく。ただ噴火、津波、洪水などの自然災害の歴史を何百年単位で見ていくと、同じような場所で同じような災害が起こっていることがある。つまり復興する場合も、同じ災害が起こると予測されるのであれば、同じ場所に街を作らない必要性が出てくる。地域の歴史を慎重に検討し、自分達の子孫の世代のことも考えた上で街作りを行わなければならない。
○更生施設
プラウトヴィレッジでは刑務所ではなく、再発防止のための更生施設を設ける。犯罪数にもよるが、件数が少なければ周辺自治体と共同運営で1つを作る。運営管理は住民の当番制。
ここに入って一定期間出れないという意味では罰ともとれるが、一番の目的は、悪友がいればその関係を断ち、1人になって自分を見つめる時間を多く持つこと。自己の内面を見つめることを習慣化し、思考が浮かんだ時にすぐ認識できるよう習慣づける。人間の言動は基本的に過去の記憶に紐づいており、人生経験が記憶となり、記憶が突発的な思考として現れ、本人も気づかぬまま無意識にその思考と一体化して感情的になり、感情が言動として暴力や犯罪につながる。
例えば親の愛情が充分に得られずに育った人は、誰かからの注意を引こうと無意識に非行に走ったり、傷つけたりする。過去に誰かにひどく裏切られた人はそれがトラウマとなり、無意識に人を疑ってばかりで良好な関係が築けなかったりする。過去に虐待を受けた人は、無意識に同じ暴力行為を他人にしてしまったりする。薬物の快楽を一度経験してしまった人は、その味を思い出し、再びそれを求めてしまう。
問題はこういった心に傷があると、同じ行為を何回も繰り返してしまうこと。つまり逮捕され、罰を与えられてもその傷が深く残っていれば再び同じ思考が浮かび、それに流されて同じ犯罪を繰り返す可能性が高くなる。自制心を養い、再発を防止するためには時間がかかる。そのため犯罪の内容によって入所する時間が変わってくる。
よってこういった治療や癒しのために、ゆったりした動作で無心になれる活動を行う。それは瞑想、ヨガ、太極拳、写経、絵を書くなど芸術、植物を育てる、読書など。ゆったりした動きは心に余裕を保てるため、無心を意識しやすい。激しい運動などではそれをすることに必死になって余裕がなくなり、目的からそれてしまう。
また加害者の人生でどんなことがあってどう思ったなど、第三者がただひたすら傾聴する活動も行われる。また被害者の承諾が得られれば加害者と対話する時間を作ったり、謝罪文を書くなども行われる。
そして誰かの役に立っているという自己肯定感を高めるために、自分が提供できる知識や技術を外部の人に教える塾を開くというのも、施設内での態度によって可能となる。
施設内でインターネットを利用すると、内面に向き合う時間がなくなるため使用はできない。
地域社会全体で考えると、犯罪そのものをなくすことが全体の平和につながるため、一定期間加害者を隔離しながら治療することを目的とする。
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