○栽培方法

 プラウトヴィレッジの食材の栽培は、自然農法と水耕栽培の2つを並行して行う。


 自然農法は体や土地に有害な農薬や肥料を使わずに栽培する方法で、すでに国内外で行われている。この提唱者は福岡正信氏で、人間が手を加えず様々な植物が生い茂り、様々な昆虫などの生きものが生息した土地は肥沃で、そこからは栄養が豊富に含まれた作物が育つという原点に回帰した考え方。福岡正信氏の田は、三十数年間1度も鋤(す)いたことがなく、化学肥料、堆肥(たいひ)、消毒剤もかけたことがない。これで麦も米も約33m四方当たり10俵(600キロ)に近い収穫があったと述べている。


 人間が鋤鍬(すきくわ)で耕せる深さは10~20センチ。しかし草や緑肥の根は30~40センチ以上も耕してくれる。根が深く土地に入れば、その根と共に空気も水も地中に浸透していく。その根や微生物の死滅で土は肥沃化し軟らかくなる。やがてミミズが増え、モグラもまた土の中に穴をあける。このように自然が栄養ある栽培環境を整えてくれ、土壌は永久に肥沃で、公害を発生する要素はない。自然農法の原則は、無耕耘、無肥料、無除草、無農薬。

 そして室内では水耕栽培を行う。これは土を使わず、植物の根の部分を肥料が入った水に浸し、必要な水と養分と酸素を根から吸収させる。これにより虫がつかず、健康的な無農薬植物が育ち、季節に関係なく計画的な栽培ができる。植物を垂直に配置して栽培すれば場所も節約でき、住居内で多くの栽培が可能となる。

 そして育てた作物からは種を採取し、それを洗浄、乾燥し、容器に入れて冷蔵庫などで保存する。
 こうした流れを各家庭が行うことで、生きていくために不可欠な食の知識を誰もが受け継ぐことができ、食の安全、災害時の食物が守られる。


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