○組織とリーダー [7]

  人へのアドバイスは前向きな言葉をかける時もあれば、厳しい言葉、悲観的な見解を伝えるほうが伝わることもある。通常はポジティブ8割、ネガティブ2割を基本とし、時期や相手によってその割合を逆転するバランスが良い。厳しさが多いと人は離れていく。



 熟練者が初心者の取り組みを見れば、何が良くて悪いのかは大体すぐわかる。その時その場ですぐ指摘するより、その場では我慢した方が良い。毎回すぐに指摘が入ると、やってる方の自我は恐怖を感じ、思い切った行動ができなくなる。後で落ち着いた時に少ない回数でアドバイスする方が、相手も受け取りやすく萎縮しない。


 プライドが高く、耳がふさがっている人へアドバイスしても届かない。だから本人が失敗して恥をかくまで待つしかない。その時やっと、周囲の意見に耳を傾ける兆しが見える。閉じた耳を無理に開けようとすれば、自我はさらに頑固になる。ただプライドが高い人であっても、愛情を持って話を聞き続けてくれる人へは信頼を高め、意見に耳を傾けることがある。そういった意味で意識として在る人ほど、頑固な人の心を柔らかくしやすい。


 苦手な作業をしている人に厳しく指導しても優しく指導しても、改善はほとんど見られない。ただ優しく教えた方が、わずかだが改善されることがある。失敗を責めなかったことや協力してくれたことに対して報いようとするため。愛情を持って接することが基本となる。


 仕事でミスの多い人へは適材適所を見直すほうが良い。怒ってもやめるだけになる。適材適所で配置すると、問題はその人ではなかったことに気づく。新しい仕事が天職、適職に近いものほど直感が冴えてくるので、能力も発揮される。苦手なことをする時、直感に恵まれない。


 自我が薄く、誠実で仕事ができる人、理解力の高い人、意欲のある人、きっちりしている人、我欲を自制できる人、仲間を思いやる人など、これらのスタッフとは仕事がやりやすい。リーダーが多少しっかりしていなくても助けてくれる。これとは反対に、自我が強く誠実性の低い人との仕事は苦労が絶えない。その分リーダーは頭を使う。すると具体的な対応策が知恵となって身につく。リーダーを育てるには、後者の組織を任せるのが効果的。苦労と見れば苦しいが、成長や気づきのきっかけと考えると悪いものではなくなってくる。


 組織では、リーダーからの指示でも仕事をきっちりしない人もいる。その時は誰かと組ませてみる。仕事をきっちりしない人にも、信頼して安心できる仲の良い人がいたりする。この人と組ませると、相手との信頼関係を壊したくないからきっちりしようとする。自我は信用していない人を敵対視するが、信用している人からは嫌われたくないと思う。ただ劇的に改善されるわけではない。

 欲が強く自分の取り分の要求が強い人には、成功報酬型が適している。自我は自分のためなら大きな力を出せる。このタイプが組織で働くと、成果が出ない時に誰かのせいにしがちで、陰湿な空気が組織に生まれやすい。言い訳できない状況に置くことが適している。


 自我の強い人物と自我の薄い人物を同じグループで働かせるのは、できるだけさけた方が良い。自我の強い人物は自我の薄い人を利用し始め、自我の薄い人たちは働く気をなくしていく。


 組織もリーダーも、無心になり意識として在ることを基本とするものは調和へと向かう。


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