○ネットいじめの防止策と措置内容[4]

  またイベント、病院、飲食店、個人のサービスなどへの評価をネットに書き込むこともあるが、サービスへの不満や嫉妬などで嘘のコメントを書き込む人もいる。「あそこの料理には虫が入っていた」「医者が適切な治療をしなかった」などは、証拠がないと事実か嘘か見分けがつかない。

 こういった場合、嘘のコメントを書かれたサービス提供者はやられるだけになってしまい、嘘を書いた側が言った者勝ちになる。よってプラウトヴィレッジでは、批判コメントが事実であったとしても証拠がなければ誹謗中傷で、措置の対象になることがある。それはサービス提供者が批判と感じ通報するかどうかにゆだねられる。
 ただ動画などで証拠を提示している批判コメントは、問題にならない可能性が高い。例えばどこかの動物病院で医者が動物を虐待している証拠動画とともに批判コメントを書き込んでいるなら、5長の判断で違法にならないことがある。



 これらの仕組みの根底にあるのは、警察がいないプラウトヴィレッジでは自治体の治安は住民達で守るということ。それは現実世界もインターネットの世界も同じで、ネット世界は簡単にいじめの温床となるのはすでに証明されている。遠くに住む著名人に対する誹謗中傷もあるが、身近に住んでいる人に対してのいじめも多い。もし近くの住民に自治体の治安を乱す者がいれば、それも自分たちで防いでいく。その治安を乱すユーザーに最も近い場所に住む5長が、違法かどうかを判断する権限を持つ。そして悪質なユーザーは更生施設で治療する。


 5長も人間なので措置の判断を誤ったり、自分の家族や友人が通報されれば罰則を甘くしてしまう可能性もある。もし通報者が5長の判断に不服がある場合や一定期間内に対応がなければ、4長、3長へと通報先が自動的に切り替わる知らせがメールで届き、最後は1長に不服を申し立てることができる。1長でも認められなければ終了となり、通報者は問い合わせを半年間など一定期間通報できなくなる。

 被害者も自分1人では不安な時や対処できない時は、自分が住む場所の長に相談し、一緒に通報先の長と話し合ってもらうことも可能。


 そして自治体の長がいじめや犯罪で加害者を注意をする時や措置を伝える時は、少人数よりも大人数で行うことを基本とする。いじめをする人は逆恨みしてくる可能性があり、執念深く威圧的な人もいるため、それを怖がる長もいる。また性格的にも、簡単に人の注意を聞いて会心するタイプでないことが多い。そして集団でいじめをしている場合もある。よって中途半端に少人数で注意すると恨まれて、反対に攻撃される危険性がある。
 加害者はいじめとという隠れてしたいずるい行為を大ごとにされて、多くの人に自分の低俗な部分を知らされることが恥でもある。だからこそ大人数で情報を共有しあって注意しに行く方が効果が高く、注意する側にとっても危険を回避しやすい。


 こういったルールを設けても、裏サイトを作って通報機能がない掲示板を利用する人が出てくる可能性はある。その場合、その利用者の誰かが善意で通報するのを期待することになる。発見されれば、そのサイト作成者とユーザーは措置の対象となる。

 そしてこういった犯罪の内容と回数は数十年の間、個人IDに記録される。何度も同じ犯罪をしていれば、更生施設への入所期間や投稿機能の禁止期間が長くなっていく。そしてこれは、5町会でリーダーを選出する際の判断材料にもなる。インターネットで悪質な行為をする人物は、誠実性もモラルもないためリーダーの対象とはならない。こうして5長などに情報が集まると、自治体のことが把握しやすくなる。

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