○菌糸と3Dプリンター [1]

  住居で使われる家具の素材も竹が基本となるが、それに加えて菌糸でも作る。菌糸とは非常に細い糸状の細胞で白色をし、キノコなど菌類の体を形作るもの。このキノコが種の代わりに胞子(ほうし)を出して、それが発芽して菌糸になり広がっていく。使用されることが多いキノコとしては、菌糸の成長が早いヒラタケがある。


 菌糸は乾燥すると非常に固くなる。この性質を利用して、次のような手順で家具を作る。圧力鍋などで1時間30分ほど高圧蒸気滅菌した竹チップ、おがくず、藁、米ぬかなどに菌糸を混ぜる。それを型枠に入れて2週間から1ヶ月放置すると、全体が菌糸に包まれて真っ白になる。それを80度で45分加熱すると菌糸が死滅し、乾燥して固くなる。こうして机や椅子などになる。



菌糸レンガの例。

 菌糸が固まると、おがくずなどを引っ付けて菌糸レンガとなる。とても軽く、それなりに固くなるがカッターなどで切れる。ただこの状態では水に弱く、始めは水に浮くが、1週間も浸けておくと水を吸って沈んでいく。よって防水処理が必要となる。

 また菌糸レンガの表面の白い部分だけを薄く切り取ったものから菌糸レザーも作れ、すでに服や靴となって商品化されている。これにも防水処理は必要となる。
 さらに菌糸レンガを建物の壁に使用する建築家もいる。もともとの素材がおがくずや藁などなので断熱性がある。よって藁が集められない地域では菌糸レンガを柱と柱の間に積み上げるということもできる。これでプラウトヴィレッジの一軒家を作る場合、幅、奥行き、高さが50cmずつの菌糸レンガを約1000個ほど作ることになり、80度で45分間焼いて乾燥させる設備が必要となる。竹を燃やして炭蓄電池を作る際に、菌糸レンガも一緒に焼くというのは考えられる。

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