○住居の基本素材 [2]

 次の数値は熱伝導率で、その数字が小さいほど熱を伝えにくいので断熱性能が高い。藁は断熱性能が高い。

約0.016 W/(m・K) グラスウール16K(主原料はガラス)

約0.05 - 0.09 W/(m・K) 藁

約0.5 - 0.8 W/(m・K) 土壁

約0.1 - 0.2 W/(m・K) 天然木材

約1.7 - 2.3 W/(m・K) コンクリート

 藁の他にイネ科の茅(かや)や干し草も使える。茅で 0.041W/(m K) になり、芝生の干草では 0.037W/(m K) となる。茅にはチガヤ、スゲ、ススキ、ヨシ、カリヤス、カルカヤ、シマガヤといった種類があり、日本では茅葺(かやぶ)き屋根として知られている。

  

 つまり藁は毎年世界各地で採取できる資源であり、自治体が使える素材の量を把握しながら行えば、資源の枯渇に直面することはなくなる。ただ土はできあがるのに何百年と時間がかかるため、早生桐や藁など短い期間で何度も採取でき、土の使用量がまだ少ないストローベイルハウスのほうが、コブハウスよりも優先度が高くなる。


 こういった住居は再利用が可能な素材で、修繕を繰り返しながら長く使用していくことを前提としている。また使用後も自然に返せる素材である。

 ストローベイル、コブ、アドベは各大陸で昔からある手法であり、持続可能な住居の基本として全世界で適用しやすい。


 また日本のように雨が降り湿度の高い場所では、カビによる藁の腐敗対策が必要となるので、次のことも検討する。


・雨水を確実に処理できる屋根を使用し、その庇(ひさし)や窓の水切りを適度な長さにして雨水から壁を守る。

・住居の土台を高くし、地面を飛び跳ねる雨水から壁を守る。

・地面からの湿気が壁内に入らないようにする。
・外壁通気構法にして、外壁材と断熱材の間に空気の通り道を作ることで湿気を放出・乾燥させ、結露を防止する。


 そして住居と地面の接着面はコンクリート基礎ではなく、礎石(そせき)の上に柱が直に立つ石場建(いしばだ)てを第一候補とする。コンクリートの使用率を減らすという意味合いと、地震の力を受け流す目的がある。コンクリート基礎と住居が固定されていると、地震の揺れは直接住居に伝わる。石場建ての場合は、礎石の上に柱が乗っている状態なので、その石の上を柱が滑り、揺れを軽減する。ただ石場建てはどこにでも使用できるわけではないので、第一優先としながらも、その都度コンクリート基礎や他の方法が良いのか検討する。

 そしてこれらの基礎は、雨水が地面から跳ね返って土壁にかからない高さを設定することになる。






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