1章 序文 [3]

  教育は貨幣社会のような学校はなくなる。プラウトヴィレッジでは子供から大人まで、誰もが好きなことを一人もしくはグループで行なっている。つまりそのグループやサークルが基本単位となり、塾を選ぶように子供や大人が好きなものを選択して参加するか、独自に活動する。そして誰もが朝から好奇心のあることに自己責任で取り組むことを幼年期から行い、周囲はそれに干渉しない環境を作ることで、早期の自立と天職、適職の発見を促す。


 朝から晩まで働くような仕事はなく、住民の労働は公共事業がある場合のみ。それは週に数時間あるかないか。それ以外の時間は自分の好きなことをして過ごす。そして学校、会社、自然破壊、汚染、ゴミ、貨幣、税、貧困などはなくなる。年金制度もなく、食べ物も住居も自分たちで作るので、誰もが生涯不自由なく生きていける。

 もし自然災害が起こり自治体が破壊されても、復興は地元の資源で行うため資金は必要なく、復興後の経済がうまく回るかも考える必要がない。必要なのは人手と地元の資源と3Dプリンタであり、人々には自由な時間があるので復興も迅速に行われる。


 こういった自治体で構成される国が増え、文化と多様性が尊重され、各国へはパスポートなしで自由に行き来できる。主な交通手段は、自治体内では地上を時速20キロで走る自動車、自治体間の中長距離移動は電車で、全て電気や水素が動力源。プラウトヴィレッジでの生活にはスピードを求められる仕事がなく、誰もがのんびり生活しているため、地上ではスピードではなく安全運転が第一優先となる。また自治体の端(はし)から中心までの半径は2kmなので、時速20キロで走っても15分で到着する。遠出をする時は電車で移動し、着いた先の自治体で車を借りて目的地に向かう。こういったことにより、交通事故とそれによる死亡数のどちらもゼロを目指す。
 地中には送電線が組み込まれ、世界中が結ばれる。すると昼間の地域の余剰電力は、その間夜の地域で使用される。


 このようにしてつながった世界は、各国の代表者が集まる世界連邦という1つの組織によって統治され、国境はなくなり、貧困もなくなり、金銭や資源目当ての戦争も起こる理由がなくなる。世界の行き来が自由になることによって民族の交流が盛んになり混血も進むので、何千年後の地球は、あらゆる民族が混ざり合った星となる。


コメントを投稿

0 コメント