1章 序文 [2]

  世界中の多くの人が解決策を考えてきた。しかし社会問題の数は、減るどころか山積みとなっている。これらの根本的原因は結局のところ、お金で生活を成り立たせている貨幣社会が不完全なため。この部分を変えなければ、問題はいつまでたってもなくなることはない。そのために、人間は自分達の生き方を考え直す必要がある。それは、何のために生き、どのようにして暮らしていかなければならないかということ。人間が生きていくためには自然も科学技術も必要だが、ここからはプラウトヴィレッジとはどういった社会かについてまとめている。簡単な結論から言えば次のような世界となる。


 世界各地域では6万人前後の住民からなる直径4kmの円形のプラウトヴィレッジという自治体が基本となり、住居、家電、食料、電力、教育、医療など生活品はすべて地元の資源で、地元の住民によって作られ、よってそれらを誰もが無償で享受する。住居は自然素材を使用し、自然へ返せる造りが基本となる。この住居は竹、石、土など自然素材が使用され、高気密、高断熱化された住居で終日冷暖房が行われる。その住居を誰もが自治体から無償で借り受ける。

 家電など生活品も手作業か3Dプリンタで作る。生活品は地域で採集できる原料内で生産され、無料で得る。生産数は住民の人数分が上限となり、製品は再利用を前提とした設計となるため原料の採集は必要最低限になり、資源の枯渇と自然破壊が無くなる。


 そして家庭からの排水はすべて住居隣から地面へ浸透させる。その為に化学物質が入った洗剤、石鹸、シャンプーではなく、精油(エッセンシャルオイル)、70度以上のお湯、サトウキビなど植物由来エタノールを使用する。これによって海も川も汚染されることはなくなり、もとの澄んだ状態に戻る。

 電力は海や川などでの振り子式潮流(ちょうりゅう)発電を基本に考え、それに様々な発電技術を組み合わせる。振り子式潮流(ちょうりゅう)発電は大規模な設備を必要とせず、昼夜関係なく発電できる。あとは数を増やし発電量を多くする。そこに刈り取った草や生ゴミからガスを得るバイオマス発電や、小型の風力発電を組み合わせる。こうして発電源を多様化して合計量を増やす。こうして電力は海や自治体の至る所で作られる。

 食料は各家庭に提供される農地で、農薬を使わず自然の力に任せる自然農法や、自宅での水耕栽培で自給自足を行う。水耕栽培による食物は季節問わず安定的に得ることができる。これらにより土壌汚染がなくなり、貧困に陥いる住民もいなくなる。

 医療は薬用植物など自然医療が基本となり、食生活も穀物菜食が主となり、病気になることが大幅に減る。病院も自治体の中心部に作られ、無料で利用できる。そのため利益目的ではない天職・適職レベルの人物が医者となる。

 地元の森林も自治体が管理し、生涯残す樹木と伐採用樹木を区別して管理し、計画的に植樹もする。そうすることで、自然の多い自治体が世界中で維持される。


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