日本の伝説上の生き物とされる天狗が頭に付けている黒い小さな箱は兜巾(ときん)で、ユダヤ教徒はヒラクティリーという黒い箱を頭に乗せている。中に戒律(ティフリン)が入っている。日本では山中で修行をする修験道の行者の山伏(やまぶし)が兜巾(ときん)を頭につけ法螺貝(ほらがい)を吹くが、ユダヤの祭事ではヒラクティリー(黒い小箱)を頭につけ、ショーファーという羊の角の楽器を吹く。
天狗は鼻が高く描かれることが多い。日本書紀や古事記の天孫降臨で登場する猿田彦(サルタヒコ)も天狗の姿。
山伏(やまぶし)、ユダヤ教徒、天狗、これらに共通する額の上の兜巾(ときん)やヒラクティリー。また天狗には羽があるが、これらと共通する像が、90年頃の古代ローマのアイオーンの像。アイオーンにも羽があり、額に蛇が乗っていてヒラクティリーの原型。旧約聖書の『創世記』のアダムとイヴの話では、エデンの園でイヴに知恵の樹の実を食べさせたのは蛇。つまり蛇=知恵で、兜巾(ときん)やヒラクリティーはアイオーンの額の蛇=無、をシンボルとして表している。
アイオーンは長い杖を手にしている。山伏(やまぶし)も金剛杖(こんごうづえ)という長い棒を手にしている。
金剛杖(こんごうづえ)は金剛杵(こんごうしょ)と同じで、執金剛神(しゅこんごうしん)が持っている。金剛杵はアイオーンの胸にも見られ、無の共通シンボルだった。
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