2匹の蛇以外にも数多くのシンボルが存在し、このシンボルを理解すると各国の古代の出土品の多くが共通のシンボルでデザインされ、つながっていることが見えてくる。例えば紀元前3000年頃のイランのジーロフト文化では、2匹の蛇が絡まったデザインの石のハンドバックが見つかっている。
このハンドバックの彫刻には他にも次のようなものがある。人物とサソリとヒョウのような動物、蛇のような下半身と角のある人物。
角のある2頭の牛、2匹の蛇と鷲(わし)。
2羽の鷲(わし)、鷲に絡まる2匹の蛇、2頭のライオンと牛。
これだけを見れば、この彫刻が共通のシンボルであるかは判別がつきにくいが、次にトルコのギョベクリ・テペの石柱を見ると共通のシンボルであることが徐々に見えてくる。
次は紀元前1万年頃のギョベクリ・テペの石柱のシンボル。時間的に7000年ほども違いのあるジーロフト文化と共通しているシンボルは、右上の2匹の蛇、ハンドバック、鷲(わし)、サソリ。他にも1匹の蛇、ハンドバックの右下のH型の模様、犬、トキ、小さなトカゲ、上部のジグザグ模様などの彫刻が見られる。また石柱がT字になっているのもシンボルの一つ。
2匹の蛇は、古代エジプトの有翼(ゆうよく)円盤でも見られる。真ん中の太陽の左右に2匹の蛇がおり、翼も彫刻されている。
有翼円盤の翼と同じデザインの鷲(わし)の装飾品も、エジプトで見つかっている。この鷲(わし)もジーロフト文化のハンドバックと似たデザイン。
ジーロフト文化の鷲のデザイン。
次の左の画像のエジプトの装飾品では、スカラベという昆虫を真ん中に置いた有翼のシンボルが見られ、その上にホルスの目、その上に上向きの細長い三日月のデザインが見られる。またこの画像では見えづらいが、このホルスの目の左右とスカラベの左右に、蛇の紀章ウラエウスが2つずつ見られる。右側の画像が蛇の紀章ウラエウス。つまり2匹で一対(いっつい)の蛇が2ヶ所。つまりここに見られるデザインも全て共通のシンボル。
ギョベクリ・テペとジーロフト文化のハンドバッグと鷲(わし)、エジプトの有翼円盤と鷲(わし)が同時に見られるのがメソポタミア。ハンドバックを持った鷲(わし)人間が2人左右にいて、中央上部に人が乗った有翼円盤が見られる。
ハンドバックを持つ鷲(わし)人間以外にも、普通の人間の顔としてや魚の格好をしたアプカルルという姿でも描かれ、有翼円盤も一緒に見られることがある。
メソポタミアの浮き彫りでハンドバックを持つ腕に、16枚の花弁(はなびら)がついたシンボルが見られる。これと同じものが日本の天皇の菊花紋(きっかもん)で、同じく16枚の花弁がある。
メソポタミアの鷲(わし)人間は片手にハンドバックを持ち、反対の手に松ぼっくりを持っている。
また一緒に描かれている真ん中の木は「生命の樹」。樹木信仰も世界中で見られ、ナツメヤシ、イチジク、オリーブ、オーク、トネリコ、キスカヌ、インドボダイジュの樹などが、宇宙樹や世界樹として崇められている。
0 コメント