アフリカ神話と旧約聖書の天地創造

ユダヤ教・キリスト教の聖典である旧約聖書の中の創世記には、神が七日間で行った天地創造が記されている。ここでは土や泥などから最初の男女を作り、数日間で天地を創造するという話がアフリカにも見られ、類似している。


1日目 神は天と地をつくられた(つまり、宇宙と地球を最初に創造した)。暗闇がある中、神は光をつくり、昼と夜ができられた。


2日目 神は空(天)をつくられた。


3日目 神は大地を作り、海が生まれ、地に植物をはえさせられた。


4日目 神は太陽と月と星をつくられた。


5日目 神は魚と鳥をつくられた。


6日目 神は獣と家畜をつくり、神に似せた人をつくられた。


7日目 神はお休みになった。


その後、神は最初の男性(アダム)を土から作り、次に女性(イブ、エバ)を造る。



アフリカのベナンにあったダホメ王国では、月のマウと、彼女の双子の兄弟で太陽であるリサは両性具有の創造神マウ・リサとして考えられていた。ここでの神々の崇拝は、イスラムにもキリスト教にも影響をほとんど受けていない。


マウ・リサは植物、動物、人間をつくる前に宇宙を秩序づけた。彼らはこの祭祀を4日間で行う。


その最初の日は、マウ・リサが宇宙的秩序を制定したときであり、彼女=彼が水と泥から人間を創造したときであった。


2日目に、大地が人間の居住できるようなところにされた。


3日目には、人間は視力と話す能力と自分の周りの世界について理解する力を受け取った。


創造の最後の4日目に、マウ・リサは人間に技術を贈った。



次に西アフリカのナイジェリアのヨルバ族の天地創造神話。

最初、世界はじめじめとした、海でも陸でもない沼地のようなカオスであった。その上の空には至高神、オロデュマレ神が住んでおり、偉大なるオリサンラ神に世界を創るよう命令した。 固い大地を創る時がきて、オリサンラにはこの課題を成し遂げるために、魔法の土で満たされたカタツムリの殻とハト一羽、五本指のめんどり一羽が与えられた。オリサンラはこのカオスへ降りたってカオスを整え始めた。彼は魔法の土を小さな地面の上に投げた。するとハトとめんどりがその魔法の土をひっかきはじめ、陸と海が完全に分かれるまで、それを続けた。オリサンラは地を創るのに四日間を要した。五日目にオリサンラは仕事を休んだ。


次にケニアのアバルイヤ人の天地創造神話。


至高神ウェレは天を創造し、そして丸い小屋の屋根が柱によって支えられているように、柱によって天の周りのすべてを支えた。そこでウェレは2人の補助者を創造した。そしてウェレと補助者は一緒になって月と太陽を天空に置いた。しかしこの光輝く両者は互いに戦った。最初は月が太陽を天空から叩き出し。次に太陽がその兄を投げ落とし、「彼を泥のなかに投げ込んだ。それから太陽は、月が燦然と輝く存在でなくなるように泥を一面にはねかけた」。ウェレは敵対する兄弟を分け、太陽は昼輝き、夜は青白い月に属すると定めなければならなかった。


次の創造物は雲、稲妻の頭、星々、雨、「それによって神が雨を止める」虹、空気、そして雹(ひょう)を降らせる「冷たい空気」であった。これは2日間の仕事であった。


続いて大地が創造され、ムワンプと名づけられた最初の男と、セラと名づけられた最初の女もともにつくられた。次にウェレは大地を動物で満たし、そして宇宙の創造は「6日間」で完成した。



このケニアの神話の、はじめは太陽と月はともに存在し、やがて月に泥をかけて明るさを抑えた類似の話は、メキシコのアステカ神話にも見られる。


神であるナナワツィンとテクシステカトルがいったん焼け死ぬ。やがて東の方角からナナワツィンは太陽神トナティウとなって蘇る。その直後、テクシステカトルも東の空に昇り、トナティウと同じように輝きはじめた。二人の輝き方があまり似ているので、神々もこれでは世界が明るくなりすぎるのではないかと思った。 そこで一柱の神が走りでて、テクシステカトルの顔にウサギを一匹投げつけた。すると傷ついた月の輝きは太陽よりも弱まり、満月にはウサギの姿が見えるようになった。



このように旧約聖書の7日間の天地創造の物語もアフリカの神話と類似しており、これも共通シンボルの一つと言える。つまり出どころが同じで、各地で独自の物語として発展した。

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