2匹の蛇のシンボルは世界中の伝承や出土品で見られ、世界共通のシンボルとなっている。これに関連して虹蛇(にじへび)もシンボルとなる。
オーストラリアのアボリジニのヨルング族に伝わってきた神話を踊りで表現する儀式では、男性のダンサーが虹蛇(にじへび)を象徴する2本の特別な棒を持っている。つまりここでは虹蛇=2本の棒=2匹の蛇となる。
アボリジニには他にも虹蛇のユルルングル、エインガナ、ウングッド、ワナンビの話があり、同じオセアニアのフィジーにも虹蛇デンゲイの話がある。
西アフリカにも虹のヘビのマウウ(マウ)の話がある。また西アフリカの黒魔術であるブードゥー教でも虹蛇が見られ、蛇神ダンバラーウェイドが夫で、その妻が虹蛇の女神アイダ・ウェッド。この2匹の蛇がブードゥー教のシンボルとして描かれている。
ブードゥー教では絡み合う2匹の蛇も見られる。ギリシア神話ではヘルメース神が持っているのは、2匹の蛇が巻きついている杖カドゥケウス。
ヘルメース神。
同じくギリシア神話の神アイオーンの足元にも2匹の蛇の彫刻が見られる。アイオーンはユダヤ教やグノーシス主義でも登場する。
1010年に編纂(へんさん)されたイラン最大の民族叙事詩のシャー・ナーメ(王書)には、両肩に2匹の蛇を生やしたザッハーク王が登場する。
インドの蛇神(じゃしん)ナーガラージャ(ナーガとナーギ)も2匹の蛇が絡まった姿。これは古代中国の神である伏羲(ふっき)と女媧(じょか)と同じデザインで、ここでも2匹の蛇。
台湾の南部に住む原住民パイワン族のシンボルは、百歩蛇(ひゃっぽだ)という蛇。次の左の画像の祭祀用土器の浮き彫りに、2匹の百歩蛇(ひゃっぽだ)の浮き彫りが見られる。右の画像の左側の木彫板では頭に2匹の百歩蛇、右側では2匹の百歩蛇の蛇体の上に顔が刻まれている。
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