ヒンドゥー教の神クリシュナはヴィシュヌの化身で、いくつかの点で物語がキリストと似ている。他にもインカ帝国の神ビラコチャ、アステカ神話のケツァルコアトル、エジプトの神ホルス、蛇の杖を持つモーセ、ローマ帝国の建国者ロームルスも無という結論だったが、この5人とも似た話がある。また旧約聖書のアブラム(アブラハム)やイランのゾロアスター教の英雄フェリドゥーンにも類似の話がある。アブラム(アブラハム)もフェリドゥーンも無のことという結論になる。
「処女からの誕生」
・キリストは処女マリアから生まれた。
・ビラコチャは処女カビリャカから生まれた。
・ケツァルコアトルは処女キマルマンから生まれた。
・ホルスは処女イシスから生まれた。
「赤子の時、追っ手から逃げている」
・赤子のキリストはヘロデ王の虐殺から逃れるために、ヨセフと母マリアと共にエジプトへ避難した。
・赤子のクリシュナは、カンサ王の虐殺から逃れるために、ヤムナー川を渡っている。
・赤子のモーセは、ヘブライ人の男の新生児の殺害を命じたエジプトの王から逃れるため、生まれた後の三ヶ月間は隠されて育てられた。しかし母親は隠しきれなくなりナイル川に流した。やがて彼は王族に拾われ養子となった。
・赤子のアブラム(アブラハム)の母は、ニムロデ王がアブラムを捕まえようとするのを恐れ、アブラムを連れて家から離れ、山にあるほら穴の中に3年間姿を隠した。
・赤子のビラコチャは追ってくる父コニラヤから逃れるため、母カビリャカとパチャカマックの海岸まで行き、海に入って石になった。
・赤子で双子のロームルスは叔父(おじ)アムーリウスに命を狙われ、それを哀れんだ兵士が彼らを籠に入れて密かにティベリス川へと流す。やがて羊飼いファウストゥルスが双子を見つける。
・赤子のフェリドゥーンは母と共に、両肩に蛇を生やした暴君(ぼうくん)ザッハークの虐殺から逃れるためエルブルズ山に行き、母はフェリドゥーンを牛飼いに預けた。
「授乳する女神像」
・クリシュナと母ヤショーダ、キリストと聖母マリア、エジプトのイシス(母)とホルス(子)
この他にもフリジアの神アッティスはサバジオスと同一視される。
アッティスはローマで大地母神として知られたフリギアの女神キュベレーの息子かつ愛人で、ライオンが牽引(けんいん)するキュベレーの戦車の御者(ぎょしゃ=馬車を走らせる人)。
紀元前200年代のアフガニスタン北部の都市アイ・ハヌムからは、アッティスとキュベレーが描かれた銀製の円盤が見つかっている。そこには2頭のライオンの二輪車、三日月、16芒星が見られる。
この三日月と16芒星はメソポタミアの出土品にも見られる。
キュベレーは紀元前2千年紀にはクババとして知られる。クババは手にザクロと鏡を持った婦人の姿。ザクロもシンボルとしてメソポタミアで見られた。下の左の画像のクババの右耳の後ろの髪は渦模様のシンボル。
ヒンドゥー教のヴィシュヌとシヴァは無という結論だった。これにブラフマーを加えると、3人は同一のトリムルティと呼ばれ、この3大神も無を表したもの。これまで各宗教の神のホルス、イシス、アフラ・マズダ、ミトラ、ディオニュソスも、無という結論だった。
またキリスト教にはヤハウェという神がいる。これは旧約聖書および新約聖書における唯一神の名で、イスラム教ではアラーと呼び、ユダヤ教ではエロヒムやエル、一部のキリスト教ではエホバと呼ぶ。アラーは創世神話で無から万物を創造したとあり、類似の話は各国の神話で見られた。アラー、ヤハウェ、エロヒム、エル、エホバは同じもので、無を表した神ということ。
キリスト教の大天使ガブリエルは神のメッセンジャーで、マリアのもとに現れてイエス・キリストの誕生を告げた。イスラム教では大天使ガブリエルをジブリールと呼び、預言者ムハンマドに神の言葉の聖典コーランを伝えた存在。このガブリエルの手の形も、サバジオス、キリスト、バフォメットと同じ形。またガブリエルはルシファーと双子の兄弟と言われる大天使ミカエルと同じ翼を持ち、頭にはニンブスと呼ばれる光背(こうはい)もある。
このようにシンボルで見ていくと、キリスト、仏陀、アラー、クリシュナのような聖人とされる人物も、バフォメットやルシファーのような悪魔も、すべて無を表したものということが見えてくる。そして仏教、キリスト教、ユダヤ教、イスラム教、ヒンドゥー教の信者49億人の人々は、無を崇めているという結論。これだけではなく、先住民の自然崇拝のアニミズムも無を崇めている。つまり世界中の人々が同じ存在を崇めている。
ここまで見てきたキリスト教、エジプト神話、アッカド神話、ミトラ教、ギリシャ神話、インド神話、仏教、アステカ神話、インカ神話の登場人物は、すべて無をシンボルで表したものという結論。
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