南米の原住民もY染色体ハプログループQが多い。密林で1万年以上、独自の文化・風習を守り続けているヤノマミ族は、南米アマゾンのブラジルとベネズエラの国境付近に約2万8000人住み、南アメリカに残った文化変容の度合いが少ない大きな先住民集団。
ヤノマミ族の女子は平均14歳で妊娠・出産する。出産は森の中で行われ、へその緒がついた状態(=精霊)のまま返すか、人間の子供として育てるかの選択を迫られる。精霊のまま返すときは、へその緒がついた状態でバナナの葉にくるみ、白アリのアリ塚に放り込む。その後、白アリが食べつくすのを見計らい、そのアリ塚を焼いて精霊になったことを神に報告する。ヤノマミの間ではこれを「子供を精霊にする」と表現する。また、寿命や病気などで民族が亡くなった場合も精霊に戻すため、同じことが行われる。
このアリ塚と精霊に戻す儀式は、西アフリカのマリ共和国のドゴン族の創世神話にも見られる。
「創造神アンマが最初に創りだした両性具有の人間から、男女各四人からなる八人が生まれ、それが八十人に増えた。この時期の人間には死の概念がなく、老いた最初の人間は大地の子宮であるアリ塚に戻されて、ノンモの力によって精霊となって天に昇った。」
このドゴン族の天地創造神話も、他地域のものと共通点が見られた。西アフリカと南米では大陸が異なりが共通点が見られる。
ヤノマミ族にも神という概念があり、宗教はシャーマニズム。神に祈り、天界に帰す儀式などアイヌ民族のカムイノミやイオマンテと共通する。イオマンテとはアイヌの儀礼のひとつで、ヒグマなどの動物を殺してその魂であるカムイを神々の世界に送り帰す祭りのこと。つまりヤノマミ族の神も無である。
次の画像ではヤノマミ族の女性の夫選びの儀式で、女性同士がレスリングを行っている。対決前に両手を地面につけてから始めるのは、相撲の立会いに似ている。
このヤノマミ族の主な食物は、動物の肉、魚、昆虫、キャッサバなどで、料理用バナナやキャッサバなどの焼畑農耕もおこなっている。
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