「アフリカのムブティ族」
ある日、カメレオンは樹の中を流れる水の音に気づいた。いったいどうしたことだろうといぶかしんだカメレオンは、斧でその樹の幹を断ち割ってみた。するとそこから大量の水が噴出し、大洪水になった。やがて、この水の中からムブティ族のように、肌の明るい人組みの男女が現れた。彼らこそ人類の祖先である。
「シュメール神話」
洪水で人間を滅ぼしたのはアンとエンリルとニンフルサグで、直前にエンキはジウスドゥラ(ノア)に船を作らせ、その中に動物と人類の種(=子孫)を入れて助けさせた。
「中国」
人類に対し怒った玉皇(ぎょくこう)が大洪水を起こし、人類を滅亡させた。ただ伏羲(ふっき)と女媧(じょか)は彼らが以前に親切にもてなした神仙に教えられ、竹カゴに入って助かった。
この別の表現では、雷公によって大洪水が起こされ、伏羲と女媧の兄妹は巨大なヒョウタンの中に避難して二人だけが生き延び、それが人類の始祖となった。伏羲(ふっき)と女媧(じょか)は2匹の蛇の姿で、共通シンボルだった。
「アメリカのホピ族」
ソツクナングはクモ女に次のように命じた。「中空になっている背の高い植物を切って、人々をその中に入れなさい」クモ女は葦(あし)を切り、中に人々、少量の水、食料、フルスキ(トウモロコシの粉)を入れた。そしてソツクナングが現れて大洪水を起こした。そして葦の中の人々は助かった。
「インカ帝国」
神ビラコチャは文明の創造者で、大洪水によりチチカカ湖周辺の人々を滅ぼした。その際マンコ・カパックとママ・オクリョの2人を、文明を世界に広げるため助け残した。
このように各地の神である虹蛇、ビラコチャ、マンコ・カパック、ママ・オクリョ、エンリル、エンキ、ジウスドラ(ノア)、ソツクナング、伏羲(ふっき)と女媧(じょか)、雷公も、すべて無を表したシンボルということが見えてくる。これら以外にも類似の洪水神話は、各地に数多く存在する。
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