古代ローマの神アイオーンの足下には2匹の蛇や松ぼっくりが見られ、これが無の象徴という結論だった。その松ぼっくりを持つ神も様々な場所や宗教で見られる。
メソポタミアでも、ハンドバックを持つ人物の反対の手に松ぼっくりも見られた。
ギリシア神話では、テュルソスという松ぼっくりを先端につけた杖が登場する。古代ギリシアの宗教でこの杖は、ディオニュソスとその信者が持っていた。ローマ神話ではバックスと呼ばれ、ローマ神話のワインの神。
杖テュルソスとブドウのシンボルが描かれた浮彫りがある。ここにはタニト、三日月、太陽などもあり、シンボルをまとまっている。
杖テュルソスは時に、壺(つぼ=カンタロ)と呼ばれるワインを飲むための陶器とも関連付けられる。壺は日本で言えば飲み物を入れる容器のピッチャー。ディオニュソスもこの壺(カンタロ)とともに描かれている。
ギリシアのアテナイのアクロポリスには、ディオニュソス劇場がある。1万5千人以上を収容でき、紀元前6世紀頃の建造物とされる。紀元前4世紀(ローマ時代)に改築された当時のものが現在でも残っており、ディオニュソスの生涯をモチーフとした浮き彫りなども見ることができる。この劇場は、毎年春の大ディオニュシア祭において、ディオニュソスに捧げる悲劇(ギリシア悲劇)を上演するために用いられた。
ギリシア神話、ローマ神話のマイナスは、ディオニュソス、バックスの女性信奉者。彼女も松ぼっくりのついた杖テュルソスを持ち運んでいる。
イタリア・ローマのナヴォーナ広場には、ライオンが松ぼっくりを加えた彫刻が見られる。
サバジオスはフリギアやトラキアの神で、ギリシアのディオニュソスやその前身のザグレウスと同一視され、ゼウス、アッティスとも同一視された。サバジオスの像には松ぼっくり、鷲(わし)、アスクレピオスの杖が見られた。
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