■紀元前7万年頃 アフリカ全土の文化

2匹の蛇、虹蛇、創世神話などの共通点が見られることから、西アフリカのブードゥー教やフラニ族、マリ共和国のドゴン族、中央アフリカのクバ族の信仰も無を崇めているという結論だが、アフリカには他にも部族が数多く存在し、それぞれに創世神話や創造神の名が見られ、類似点や共通点も見いだせる。

●西アフリカのベナン
蛇神ダンバラーウェイドが夫で、その妻が虹蛇の女神アイダ・ウェッド。この2匹の蛇がブードゥー教のシンボルとして描かれている。


●西アフリカのナイジェリアなどに分布するフラニ族の神話で「無」は、巨大な一滴の乳。始まりのとき、巨体な一滴の乳以外には何もなかった。それから創造神ドゥーンダリがやってきて、石を作り出した。

●マリ共和国のドゴン族
創世神話。はじまりの世界には宇宙すらなく、天の創造神アンマのみが存在していた。アンマは言葉から宇宙を生み、太陽と月を作る。また最初の生命キゼ・ウジを創造し、キゼ・ウジは原初の子宮の「世界の卵」を産む。

●中央アフリカのクバ族
創世神話。世界の最初には、ただ水しかなかった。そこで巨大な創造神ブンバは、嘔吐(おうと)して太陽、月、星を吐き出した。これらによって光が生じて、世界に熱が生まれ、水が乾いていった。

●ケニア南部からタンザニア北部のマサイ族
マサイ族は、27万年前にアフリカで誕生した。

 

伝承では天空神エンカイは全てのものの創造者で、天と大地に住んでいた。マサイ族からはタンザニア北部にある火山オルドイニョ(山)・レンガイ(神)は神の山と言われる。

●ケニアのキクユ族
ケニア山の頂上に座する神ンガイを奉ずる一神教。神ンガイはマサイ族からはエンカイと呼ばれている。

神ンガイが頂上に座するという伝承があるケニア山。

●ナイジェリアのヨルバ人
創造神が世界を作った時、世界の始まりは海(海神オクロン)だけであり、そこで創造神は1羽の鳥にフラという薬草を持たせて送り出した。鳥は海神オクロンの上に土を置いて大地とした。そこに5本指の鶏を置くと、鶏は土を引っかいて地面を広げていき、イフェ島ができ上がり、そこから今のような大地ができ上がった。

別の伝承では、世界の最初、地上には最初の海オロクンしかなく、天空は至高神オロルンが支配していた。そこでオロルンは天より降りて海と交わり、オバハラとオドゥドゥアの兄弟を誕生させた。オドゥドゥアは大地を造る。オバハラは粘土で人間を作っていたが、途中で酒を飲んで寝てしまう。このオバハラが作った人間がイグボ族、オドゥドゥアが作った人間がヨルバ族となる。

●ガーナとコートジボワールのアカン人とアシャンティ人
創造神ニャメ(ニャンコポン)は全知全能の空の父。他にも宇宙を創造した神の名はいくつか見られる。オドマンコマ、オボアディ、アナセ・コクロク(偉大な設計者、または偉大なクモ)など。

●西アフリカのニジェール河下流のイボ族
イボ族の王の先祖は天から下って来たが、大地は水に覆われていた。しかたなく、先祖はアリ塚の上に降り立った。創造神が鍛冶屋に命じてふいごを使い、水を乾燥させたことで、初めて水が引いていった。

●南部アフリカのカラハリ砂漠に住むサン人
創造神、太陽神であるカグン(カアング、カッゲン)は月も創造した。ヘイツィ・エイビブはサン人の宗教における文化英雄で、死と再生の神でもあり、何度も死に生き返る。ツイ・ゴアブは天空神、雷の神。

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