古代ローマ帝国の王政時代が始まる。ロームルスに始まる伝説上の七人の王が治めていたとされる。
この初代王ロームルスも、無のシンボル的な存在。理由は赤子時代の話にある。ロームルスは母シルウィアと軍神マールスの間に、双子の子供として生まれる。しかし叔父(おじ)アムーリウスは、王位を継ぎうる双子の子を殺すように兵士に命じる。だが兵士は幼い双子を哀れんで、彼らを籠(かご)に入れて密かに川へと流す。ティベリス川の精霊ティベリーヌスは川を流れる双子を救い上げ、川の畔(ほとり)に住む雌狼(めすおおかみ)に預ける。やがて羊飼いファウストゥルスが双子を見つけると、妻アッカ・ラーレンティアと相談して引き取ることにした。彼の妻であるアッカ・ラーレンティアの正体は女神ケレースだった。
この赤子時代に籠(かご)に入れて川に流される話は、他の神話でも見られる。例えば旧約聖書のモーセ、ギリシャ神話のゼウスとダナエーの子ペルセウス、始皇帝の再誕というお告げがあった日本神話の秦河勝(はたのかわかつ)。これらについては後述している。
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